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とりあえず、からその先へ

執筆者の写真: 価値創造_室橋雅彦価値創造_室橋雅彦

宴を「とりあえずビール!」から始めるように、

クリエイティブな集まりを

「とりあえずブレインストーミング!」から

始めることがあることをよく耳にする。

カラカラに渇いた喉を潤し、萎んだ胃袋にしみこむビールの一杯は、

最高の刺激となり、宴をいきなり盛り上げてくれる。

とりあえず行うブレストは、

どんな役割を果たし、成果を産み出しているだろうか?


始めましての挨拶がわりのアイスブレイクとして

ブレストを実施するのは、

参加者にはかなりハードルの高いものだろうと思ってしまう。

ブレストをやることだけが目的だと考えるのでなければ、

参加者とファシリテーターが、

ブレストを行う目的への意識がしっかりあっていないと

価値を産み出すような活発な、楽しいブレストを

期待することは難しいだろう。

そんなことが続くと

ブレストは役に立たないという声を

多く耳にすることになるだろう。


ブレストは、ツールなのである。

何にでも万能なツールが無いように、

ブレストも万能では無い。

「道具は人を超えない」というように、

そのツールを使った出来上がりは

ツールを使う人の能力以上にはならないし、

使える人が使うと出来栄えは上がる。


餅つきは、見ていても、餅を実際についても、

出来上がった餅を食べるのも、楽しいイベントだ。


美味しい餅をつくには準備と手順が重要になる。

前日からもち米を水に浸す準備から始め、

直前にそのもち米をしっかり蒸し、

蒸しあがったもち米をぬらし温めてある臼に移し、

杵で餅につきあげる。

杵を振り上げて、臼の中の餅を威勢よくつくつき手が

餅つきの主役だが、本当に重要な手順と役割はそこではない。


蒸しあがったもち米をつく前に、

臼の中でもち米の一粒ひと粒をしっかりとつぶす手順を

省略するといきなり杵を振り下ろしても、餅にはうまくならない。

餅の出来上がりに重要な役割を担っているのは、

つき手と息を合わせて餅をかえす合いの手だ。

杵で均等に餅がつけるように餅をかえして、形を整える。

臼や杵に餅が付かないように、水っぽい餅にならないように、

手で水を加減して加える。

こんな作業を餅の状況を見ながら、

適切に行うことで美味しい餅がつきあがる。


ブレストも、

目的を持ってやるとなると、とても手間のかかるということは、

意外と知られていないのではないだろうか。


ブレストでのお題は、とても重要である。

参加者の属性を考えながら、

ブレストで扱うテーマに合わせて、お題を決める。

一つの切り口では、見えてこないことも、

複数の切り口で見えてくることもあるので、お題は複数準備する。

ファシリテーションでは、

数多くの発言を引き出すために、

発言に対して間髪入れずに合いの手を入れたり、

発言を膨らませたりするだけでなく、

全く別の切り口を示したりと、

個々の発言に付かず離れずの姿勢を繰り返す。


つきあがった餅をのし餅にするのか?

その場で食べるのであれば、餅に絡めるものは何にするのか?

勿論餅だけで食べるのも美味い。

餅つき大会には、そんな準備も必要になる。


アイデアは、発散と収束の繰り返しで、

内容が深まり、具体的な姿が見えてくる。

発散系の発想法であるブレストで

出てきた成果物をどのように収束させるかは、

大切なポイントになる。

出てきた成果物を

何のバイアスも持たずに眺めてみて、

何か氣づきを得ることができるのか。

関連するものをいくつかの仲間に分類して、

何かを氣づくことができるのか。


ブレストから出てきた成果物が、

すぐに何かのアイデアになるようなことはないし、

そんなことを期待すべきではない。

一回一回のブレストからの氣づきを大切にした上で、

テーマに関連するお題で何回かブレストを行ってみる。

氣づきを得るためのブレストである。


餅つきは最初は要領が掴めずに変な力を入れて、

疲れるばかりだけれど、

何回も餅をついていると必要なのは力ではなく、

杵の重みを利用することと

合いの手とのタイミングであることが、

体で分かってくる。


ブレストも何回か繰り返すうちに、

自分が中心になって何かを捻くり出すのではなく、

周りの参加者との融合の中から、

無意識のうちに頭から勝手に湧き出る瞬間に

辿り着けるようになったりする。

そんなブレストを

一度味わうのは如何だろうか。


MEME TECのワークショップは

今までにないブレインストーミングを起点に

新たなアイデア出しと氣づきを体験できる。


ブレインストーミングに関するお悩みや

その他のご相談も、MEME TECへ。


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