現状の延長線上に未来はない⁈
- 価値創造_室橋雅彦
- 10月10日
- 読了時間: 4分
私たちは日常の中で、
自然と「過去から現在があって、その先に未来がある」と考えています。
時間は直線的に流れ、今の延長線上に未来が広がっている感覚を
抱いているのではないでしょうか。
しかし、よく考えてみると、
この考え方は必ずしも正確ではないのではないでしょうか。
実際、現状の延長線上にあるのは「未来」ではなく、
「いつもの現状」に過ぎないのではないでしょうか。
この未来に関する感覚の違いは、未来の定義に深く関係していると考えます。
もし「ありたい未来」を、
単に今ある状況の延長として捉えるならば、そこには変革も革新もないでしょう。
むしろ、現状の延長線上にあるのは、
既存の課題を繰り返し改善する取り組みだけではないでしょうか。
もちろん、この改善活動自体は価値があります。
日本のものづくりが長年にわたり世界で高い評価を得てきた背景には、
まさにこうした「現状改善」の努力があったことは疑いようがありません。
製造品質を高め、工程を効率化し、納期やコストを管理する、
改善の積み重ねこそが、信頼される製品とサービスを生み出してきました。
しかし、ここで重要な問いが生まれます。
改善は本当に「未来」をつくる力になるのでしょうか。
答えは必ずしも肯定的ではありません。
なぜなら、改善とは「現状に存在する問題」をよりよく処理する行為だからです。
問題とは、現在から現状を見たときに認識できる解決すべき事柄です。
確かに問題を一つずつ解決していくことは必要です。
しかし、それだけでは、望む未来としての”本当にありたい姿”は手に入りません。
一方で、課題は「未来から現状を見たときに認識される解決すべき事柄」です。
つまり、課題とは未来の視点から逆算して浮かび上がるものであり、
現状の延長線上には現れません。
未来を起点に考えると、現状のままでは到達できないギャップが見えてきます。
そのギャップこそが、私たちが乗り越えるべき本質的な課題です。
未来志向の課題を設定することで、
はじめて現状改善を超えた価値創造やイノベーションへの道筋が見えてきます。
ここで、多くの企業や組織が陥りやすい罠を指摘しておきたいと思います。
それは、「現状を少しでも良くすること=未来への道」と考えてしまうことです。
たとえば、製造現場で工程効率を1%改善することは確かに成果ですが、
それが新しい市場や顧客価値を生むとは限りません。
目の前の改善ばかりに注力すると、
現状の延長線上で安全運転を続けるだけになり、
真に挑戦すべき未来には手が届かないのです。
未来を切り拓くためには、
まず「ありたい未来」を明確に描くことが欠かせません。
理想とする姿を具体的にイメージし、
その未来の視点から現状を逆算して課題を抽出します。
このプロセスを経ることで、単なる現状改善ではなく、
現状を飛び越えるためのアクションが見えてきます。
たとえば、製品の付加価値を高めたい場合、
単に品質を改善するだけではなく、
顧客がまだ気づいていないニーズや、
これまでの市場では提供されていなかった価値を
設計段階から組み込む必要があります。
現状の延長線上にある「改良」だけでは、こうした新たな価値は生まれません。
さらに、この考え方は組織運営や経営戦略にも当てはまります。
現状の成功モデルや既存の市場での実績に依存しすぎると、
次の一手が見えなくなります。
これまでのやり方や慣習に従った改善活動だけでは、
競争環境の変化や技術革新に対応できず、いずれ成長の限界に直面します。
逆に、未来を見据えて課題を設定する組織は、
現状の制約に縛られず、新たな挑戦やビジネスモデルの創造が可能になります。
もちろん、現状改善を軽視してよいわけではありません。
現状改善は基盤を固め、
安定した運営や高品質な成果を支える大切な取り組みなのです。
しかし、それだけでは「未来をつくる力」にはなりません。
改善と課題解決のバランスを意識し、
現状を超えた未来像を描くことこそが、
持続的な成長やイノベーションの鍵となります。
ミームテック技術士事務所は、
企業や組織が現状にとらわれず、
ありたい未来に向かって進むための支援を行っています。
現状改善に偏りがちな視点を整理し、
未来志向の課題設定から具体的なアクションプランまでを共に設計することで、
現状を超える価値創造の実現をサポートします。
もし、現状の延長線上に未来が見えないと感じているなら、
ぜひお問い合せください。
現状改善だけに留まらない、次のステップへの道筋を一緒に描きます。
エージェントAI・Masaもご質問をお待ちしております




コメント