開発を大きく捉えると、
開発とは、無数の、可能性というカタチのないものから
一つの可能性を引き出し、
カタチあるものに変換することであると考えています。
その開発の過程では、幾つもの目標が設定されて、
その目標を達成するために様々な選択と意思決定が行われます。
一つ一つの目標を達成することで、
最終的に開発終了という目的にたどり着くことができます。
目標を達成するという目的のために、
無数の手段から特定の手段が絞り込まれていきます。
目的のために手段を選ぶとは、
例えば、温泉を堪能し、日頃の疲れを癒すという目的のために、
日程を決め、宿を予約し、移動手段を決めて、出掛けることです。
可能な日程から出掛ける日程を絞り込み、
沢山の宿泊先から宿を絞り込み、
いくつかの選択肢から移動手段を選択します。
それぞれの絞り込みや選択においては、
何を大事にするかの基準があり、
その基準に照らし合わせることで絞り込みや選択が行われます。
そして、満足のいく形で温泉を堪能して、
日頃の疲れを癒すことができます。
開発においても、
開発目的のために、市場を絞り込み、ユーザーを定義し、
提供する価格を決め、仕様を詳細化する等のプロセスがあります。
市場も、ユーザーも、価格も、仕様も、開発目的のための目標です。
「では無数の可能性の中から何を選び出すかを考えよう」、
というのが一般的な手順かと思います。
しかし、何かを選ぶということは、
何かを選ばないということでもあります。
まず、何を選ばないかを考えてみるのはどうでしょうか?
ルールには、ポジティブリスト方式とネガティブリスト方式があります。
ポジティブリスト方式では、やって良いことだけを列挙し、
やって良いことの範囲での行動を許可します。
ネガティブリスト方式では、やってはいけないことだけを列挙し、
それ以外は原則無制限で行動を規定します。
この2つの方式は様々なルールで使い分けられています。
開発において、
何を選ぶかを考えることと何を選ばないかを考えることは、
ポジティブリスト方式とネガティブリスト方式の考え方と
非常に関連性があると考えます。
一見すると、
やって良いことだけ、つまり何を選ぶかが決まっている方が
選択と意思決定は容易だと思えます。
開発を従来の延長線上で行う場合は、
ポジティブリストに沿って選択と意思決定を行うことは、
効率的かもしれないです。
しかし、今必要な開発は、
従来の延長線から外れた所にある目標を目指す開発ではないでしょうか。
新しいことへの挑戦には、予想外のことが常について回るものです。
発生する予想外のことのほとんど全てが、
やって良いことリストには記述されていないことは容易に想像できます。
何故なら、リストに記述があれば、予想外ではないからです。
予想外のことに直面した時にどんな最善の選択と意思決定ができるかは、
やって良いことリストに頼るのではなく、
選択しようとする手段が、
やってはいけないことではないかを確認することにあると考えます。
今、どちらのリストを使って開発を進めていますか。
ネガティブという言葉の印象とは異なり、
新しいことへの挑戦においては、
ネガティブリスト方式は大きな可能性を持っていると
イメージ頂ければ幸いです。
開発におけるネガティブリストの作り方については、
「顧客価値駆動型開発プログラム」で実践いただけます。
開発におけるネガティブリスト作成に対する考え方は、
別の機会で紹介することにしたいと思います。
以上が、
MEME TECの
開発への支援における考えの紹介です。
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