自社の物流に目を向ける(その2)
- 価値創造_室橋雅彦
- 8月3日
- 読了時間: 4分
オブセ信用金庫本店営業部新沼営業課長と新人の及川君の
小布施マテリアル株式会社塩野崎会長との面談は、
及川君のさらなる発言から次の方向へと展開していった。
及川「そうなんですね…。じゃあ、新倉庫の話って単に“建てる”だけじゃなくて、会社を変えるチャンスなんですね。」
塩野崎会長「物流って“企業の鏡”なんだよ。どこにボトルネックがあるかで、どこが鈍ってるかわかる。」
新沼課長「おっしゃる通りです。実際、私たちが取引先を拝見していても、物流が詰まってる企業って、情報共有や部門連携にも課題があるケースが多いんですよね。」
及川「あ…それって倉庫だけの話じゃないんですね。」
新沼課長「そうなんです。だから、倉庫改善って、財務や人材のことまで影響が出る“経営の要”だと思って見ています。」
塩野崎会長「新倉庫ってね、“今のため”に建てるようでいて、本当は“これからの自分たち”に対してどう在りたいかを問う作業なんだよ。」
新沼課長「なるほど。“未来の業務”を先取りするわけですね。」
塩野崎会長「そう。“今のやり方を広げる”んじゃなく、“未来のやり方を形にする”。その覚悟がなければ、どんなに立派な倉庫でも中身は変わらん。」
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御社の倉庫業務の実態は見えていますか?
経営者が自社の物流に目を向けていないと言うことは、
営業部門や調達部門などの他の部門も自社の物流を見ていないということです。
営業部門は、どの様にして自社の商品を顧客に届けているかを知らず、商品の出荷ミスが発生した際に担当する部門にクレームするだけで
出荷の仕組みを見ようとはしません。
製品出荷体制や在庫配置、荷姿、リードタイムといった物流の要素が自社の強みに繋がり、営業戦略の成否に直結していることを見逃しているかもしれません。
調達部門も、自分たちが手配した部品や材料が
どの様に保管、管理、処理されているかを理解せずに
今までのやり方で発注業務を進めます。そのことが納期遅延や在庫過剰、欠品といったリスクを内在させることに繋がります。
製造部門でも、どのようなプロセスで部品が現場に払い出されてくるかを理解している現場リーダーはほんの一握りではないでしょうか。物流のタイミングや動線、リードタイム、在庫配置のロジックを知らなければ、必要なときに必要なものが手元にないことや必要でないものが手元に届くことによる現場での段取り作業の非効率化や品質問題に波及することになります。
御社の物流部門は、経費だけを管理するコストセンターでしょうか?
それとも、利益を生み出し管理するプロフィットセンターでしょうか?
自社の強みをさらに強化すること、新しい強みや顧客に提供する新たな価値を生み出すことに物流部門が関われるとしたらどうでしょうか。
物流部門が他部門と連携することで在庫最適化やリードタイム短縮、
さらにはECへの対応といった成果を生み出すことで、
利益を生み出す機能部門(プロフィットセンター)へと
戦略的に変えていくことが可能です。
WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)の導入は、プロフィットセンター化の起点になりえます。WMSは単なる在庫の見える化ではなく、商品の入出庫、棚卸、在庫移動のプロセス全体をデータで把握・制御するための仕組みです。基幹システムでは対応しきれない現場の柔軟な運用にも対応できるため、業務の属人性を減らし、ミスやロスの発生を防ぎます。
そこから、保管と仕分けといった従来の倉庫から、流通加工、ピッキング、包装、検品、梱包、配送指示までを一体的に行う物流拠点としての多機能倉庫へと進めていくことが可能になります。
この多機能倉庫こそが、価値創造の現場としての物流部門のプロフィット化の姿ではないでしょうか。
物流部門の見える化からプロフィットセンター化への動きは、全社の連携と価値創出を促す、全体最適を考える「構造転換」そのものです。
そのためには、物流が担う機能と役割を再定義し、経営と現場、そしてITを一体的に捉え直す必要があります。
ミームテック技術士事務所では、
物流業務の見える化とプロフィットセンター化に向けた支援を
行っています。
現場ヒアリングから業務フローの整理、
WMS導入構想支援、物流部門と他部門との連携設計、
データに基づいたKPI設計まで、
システムと現場、経営の橋渡しを行いながら、
物流を「見える化」し、「価値を生む現場」へと変えていきます。
物流に潜む可能性を活かし、
企業の新たな成長力を共に築いていきましょう。
ご関心のある方は、ぜひお問い合せください。
塩野崎健助(しおのざきけんすけ):小布施マテリアル株式会社 会長
新沼大輔(にいぬまだいすけ):オブセ信用金庫本店営業部 営業課課長
及川涼太(おいかわりょうた):オブセ信用金庫本店営業部 営業課新人
ここで紹介する会話はフィクションです。実在の人物や団体とは一切関係ありません。




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