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AIリテラシーと「AIセンス」

〜AIリテラシーの限界と「AIセンス」という新たな視座〜


何らかの形で生成AIを使ったことのある方は、

「AIを使えること」と「AIで価値を創造すること」は

似て非なるものだと感じていませんか?


近年、多くの企業や個人がAIリテラシーの向上に努めていますが、

それだけでは現場の課題解決やイノベーションにはつながらない

という現実に直面しているのではないでしょうか。


情報を理解し、技術の仕組みを知ることは重要ですが、

それは「地図を読めるようになる」ことに過ぎません。

目的地へ到達するには、地形や天候を踏まえた判断力と勘所が求められます。

それこそが、今私たちが必要としている「AIセンス」なのです。


生成AIの登場は、

私たちに従来のITリテラシーでは太刀打ちできない変化をもたらしました。

対話型AIや画像生成AIのように、

人間の創造的な営みに迫る技術が誰でも使える時代になりました。

ここで重要なのは「使いこなせる」ことではなく、

「活かしどころを見極め、文脈に合わせて使い分ける力」です。


たとえば、中小製造業の現場においても、

AIによる図面チェックや部品選定の効率化といった活用は、

既に現実のものとなりつつあります。

しかし、それらの活用が本当に現場に根付くかどうかは、

AIツールの導入そのものではなく、

「なぜ使うのか」「どこで価値を生むのか」を見極めるセンスにかかっています。


この「センス」は、決して一朝一夕で身につくものではありません。

しかし、特別な才能が必要なわけでもありません。


むしろ、日々の実務に根ざした問題意識、現場で培った観察力、

そして対話を通じて他者と共創する姿勢が、その土台となります。

つまり、AIセンスとは単なるスキルではなく、

状況認識力や構造理解力、そして仮説構築力を含んだ、

複合的な知性のかたまりなのだと考えます。


AIリテラシー教育の多くは、

ツールの操作方法やアルゴリズムの仕組みに焦点を当てています。

もちろんそれは必要です。


しかし、それだけでは

「AIが何をできるか」しか分からず、「それを何に使うべきか」

には踏み込めません。


実際の現場では、

「この仕様検討に生成AIは使えるのか?」

「この工程改善のアイデア出しにAIを使うとしたら、どの段階か?」

といった問いと常に向き合います。

これらの問いに即座に応答できるかどうかが、AIセンスのある・なしの違いです。


また、AIセンスを育むうえで欠かせないのが、

「目的と手段を取り違えない姿勢」です。


AIはあくまで手段であり、目的ではありません。

技術を導入することが成果ではなく、

導入によって生まれる新たな価値こそが成果です。


最近、

「最新のAIを導入したが、結局使われなくなった」

といった事例をよく耳にしますが、

これは目的が曖昧なまま技術先行で動いた結果といえるのではないでしょう。

目的に根ざした活用ができるかどうか、ここにAIセンスの真価が問われます。


さらに、AIセンスを語るうえで重要なのが、

「他者との共創を前提にする姿勢」です。


AIの活用は一人の力で完結するものではありません。

むしろ、現場の知見、業務プロセス、顧客のニーズ、経営方針など、

多様な視点を結びつけながら初めて価値を生み出します。


つまり、AIセンスとは「他者と繋がる力」でもあるのです。

相手の考えを理解し、自分の考えを翻訳し、

AIという共通言語を介して新たな意味を創出する。

そのような知的な対話と協働が、これからの時代のものづくりに欠かせません。


では、私たちはどうやってこの「AIセンス」を育てていけばよいのでしょうか。


それは、現場で小さく試し、失敗し、振り返り、

学び合うプロセスの繰り返しにほかなりません。


「答えのあるAIの使い方」ではなく、

「問いを立て、文脈をつかむAIとの付き合い方」を身につける。

そこには時間がかかりますが、確実に組織の知として蓄積され、

やがて他社には真似できない競争力となって表れます。


次回は、この「AIセンス」をどう育てるかを、

実際の現場での事例やアプローチを交えながら深掘りしていきます。


ミームテック技術士事務所では、

様々な観点での生成AI活用のためのAIセンスについて

AIセンスとは何かをもっとお知りになりたい企業様、

自社で磨きあげたいAIセンスをお考えになりたい企業様、

さらにAIセンス養成をお考えの企業様からのご相談を伺っております。

お氣軽にお問い合せください。

 
 
 

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