M&A前夜_その4
- 価値創造_室橋雅彦
- 5 日前
- 読了時間: 3分
これまで「顧客価値の再定義」と「共創のための準備」について考えてきました。
進むべき方向は見え始めた。
しかし、いざM&Aや大規模な提携を前にすると、
その不確実性とリスクの大きさに足がすくんでしまうのも無理はありません。
今回のテーマは「できることから始める」。
熟達した起業家たちが実践する思考法
「Effectuation(エフェクチュエーション)」を軸に、
M&A前夜の不安を「確信」へと変える行動原理についてお話しします。
M&Aという巨大な意思決定を、
多くの経営者は「完璧な計画」を立てようとします。
市場を分析し、数年後のリターンを予測し、リスクを最小化した上で、
一気に勝負をかける。
このような進め方は「コーゼーション(因果論)」と呼ばれる
一般的な思考法に基づくものです。
しかし、現代のように変化が激しく、予測不能な環境下では、
この計画そのものがすぐに時代遅れになってしまいます。
そこで提案するのが、「Effectuation(エフェクチュエーション)」です。
これは「目的」から逆算するのではなく、
今、自分の手の中にある「手段」から何ができるかを考える思考法です。
Effectuationは、具体的には、以下の5つの原則に基づきますが、
「手中の鳥(Bird in Hand)」の原則
「許容可能な損失(Affordable Loss)」の原則
「クレイジーキルト(Crazy Quilt)」の原則
「レモネード(Lemonade)」の原則
「飛行機のパイロット(Pilot in the Plane)」の原則
M&A前夜にまず意識していただきたいのは、
「手中の鳥(Bird in Hand)」と
「許容可能な損失(Affordable Loss)」の二点です。
大きなM&Aの契約書にサインする前に、
まずは「今、自分たちが持っている資源」でできる小さな実験を
始めてみてください。
· 知っている人: 信頼できる知人の会社と、小さな共同プロジェクトを始めてみる。
· 持っている技術: 既存の技術を、少しだけ違う業界の課題解決に転用してみる。
· 知っていること: 培ってきたノウハウを、他社にアドバイスする形で共有してみる。
この「小さな実験」のポイントは、
もし失敗しても「これくらいなら痛くない」と思える許容可能な損失の範囲内で行うことです。「いきなり会社を売買するのは怖いが、この特定の工程だけを協力会社と共同運用してみる」「資本を入れる前に、3ヶ月限定のテストマーケティングを共創パートナーと一緒に実施してみる」といったステップを踏むのです。
こうした小さな「できること」の積み重ねは、二つの副産物をもたらします。
一つは、相手企業との「文化的な相性」が、
契約書を交わす前に肌感覚で理解できること。
もう一つは、現場の社員が変化に慣れ、
新しい価値創造の楽しさを実感し始めることです。
M&A特急に乗って、気づけば後戻りできない場所まで運ばれてしまうのではなく、自分たちでレールを少しずつ敷きながら、景色を確認して進む「実験的アプローチ」こそが、不確実性をコントロールし、結果として「持続可能な企業」としての強固な基盤を創り上げます。
「何ができるか」は、あなたの手の中に既にあります。
それを誰と、どう動かしてみるか。
壮大なビジョンに圧倒される前に、
まずは今日、一通のメールを送る、一本の電話をかけるといった
「できること」から始めてみませんか。
ミームテック技術士事務所は、
あなたの「手中の鳥」を客観的に整理し、
どの程度の「小さな実験」から始めるべきか、
リスクを抑えた伴走支援を行います。
次の一歩として、
今の貴社のリソースで「明日からでも試せる他社との協力案」を、
3つだけ書き出してみませんか?
そのリストが、未来のパートナーシップの設計図になります。
ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合せください。




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