M&A前夜_その1
- 価値創造_室橋雅彦
- 3 日前
- 読了時間: 4分
中小企業の経営環境の荒波の中で、
今日「M&A」という言葉が大きな存在感を示してきており、
氣になっている経営者の方は少なくないのではないでしょうか。
でも、多くの経営者はこの状況にある種の危惧を抱いているのも事実でしょう。
それは、M&Aという巨大な歯車が一度回り始めた途端、
経営者が自らの「意志」を置き去りにしたまま、不可逆的な加速に飲み込まれてしまう現実です。
仲介会社や金融機関に依頼の門を叩いたその日から、
財務DD(デューデリジェンス)や企業価値算定といったプロセスが怒涛のように押し寄せます。
それは、あたかも停車駅のない特急列車に乗せられるようなものです。
一度走り出せば、途中で降りることは極めて困難であり、
多くの経営者が「本当にこれで良かったのか」と自問自答する間もなく、
成約という終着点へ運ばれていきます。
このような状況だからこそ、「M&A前夜」の重要性を説きたいと思っています。
特急列車の切符を握る前に、あるいはプラットホームに立つ前に、
立ち止まって考えなければならないことがあります。
それは「自社が本当にやりたいことは何なのか」、そして「自社が社会において持続していくための根源的な価値は何なのか」という問いです。
M&Aはゴールではありません。
経営者の真の目的は、会社を売ることでも買うことでもなく、
自社が紡いできた価値を次世代へと繋ぎ、
変化し続ける社会の中で「持続可能な企業」であり続けることではないでしょうか。
この真の目的を見失ったままM&Aの渦に飛び込めば、数字上の帳尻は合っても、
魂の抜けた取引になりかねないと、多くの経営者は危惧しているのではないでしょうか。
では、加速するM&Aの波に飲み込まれる前に、何ができ、何をすべきでしょうか。
その第一歩は、極めてシンプルで、かつ最も見落とされがちな作業、
「自社の顧客と真摯に向き合うこと」に他なりません。
自社は今、誰に対して、どのような価値を届けているのか。
なぜ顧客は、数ある選択肢の中から自社を選んでくれているのか。
この「顧客価値」の解像度を極限まで高めることこそが、
持続可能な未来への唯一の出発点となります。
「CVDD(Customer Value Driven Development:顧客価値駆動型開発)」の思想は、
そのために、ここにあります。
自社の技術やサービスを、単なる「商品」としてではなく、顧客の課題を解決し、
未来を切り拓くための「価値の種」として再定義するプロセスです。
自社の顧客価値が明確になれば、自ずと「自社に足りないもの」と
「自社が提供できるもの」が浮き彫りになります。
それは、単なる欠損を埋めるためのM&Aではなく、
新しい価値を共に創り出すための「共創連携」への道筋です。
誰と組み、何を補い合い、どのような未来を分かち合うのかの設計図がないままに
資本提携を急いでも、組織の文化は反発し、シナジーという名の幻想は霧散してしまいます。
不確実な未来を他者に委ねるのではなく、自らの手で切り拓くために必要なのは、
売買することだけを目的とし、そこから逆算する緻密に組まれる計画だけではありません。
今、自分たちが持っている資源――
「誰であるか」「何を知っているか」「誰を知っているか」という手持ちの札を再確認し、
そこからできることから始めてみる「Effectuation(エフェクチュエーション)」の思考が、
経営者の孤独な決断を支える光となります。
M&Aは、自社の価値を社会に実装し続けるための有力な手段です。
しかし、それが「持続可能な企業」という目的に適っているかどうかを判断できるのは、
他ならぬ経営者自身だけです。
ミームテック技術士事務所は、CVDDとEffectuationの考え方を基に、
M&Aのアクセルを全開にする前に、まずは立ち止まり、
貴社の「顧客価値の真実」を共に探求することから支援を始めます。
それは、単なる手続きの代行ではなく、
貴社の持つ「文化的遺伝子(ミーム)」を未来へと繋ぐための、
泥臭くもクリエイティブな開発プロセスです。
本連載では、これから数回にわたり、
M&Aという選択肢を「持続可能な経営」へと昇華させるためのステップを
詳しく解き明かしていきます。
次回は、その第一歩である「自社の顧客と徹底的に向き合い、
価値を再定義する方法」について深く掘り下げていきましょう。
ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合せください。
エージェントAI・Masaもご質問をお待ちしております。




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