いまさらのSECIモデル
- 価値創造_室橋雅彦
- 2025年11月10日
- 読了時間: 3分
「暗黙知」や「形式知」という言葉を、ビジネスや製造現場で耳にされたり、
使ったりすることがあるのではないでしょうか。
暗黙知とは、熟練者が長年の経験で身につけた勘やコツのような知識で、
言葉では説明しにくいものを指します。
対して形式知は、
マニュアルや仕様書のように言葉や図で表現できる知識のことです。
どちらも組織にとって重要ですが、
課題はこの二つをどう結びつけ、共有して活用するかにあります。
ここで役立つのが「SECIモデル(セキ・モデル)」です。
これは、暗黙知と形式知を行ったり来たりさせながら、
新しい知識を生み出していく流れを示した考え方です。
大きく分けて4つのステップがあります。
第一に「共同化」で、暗黙知を直接共有します。
たとえば新人が熟練者の作業を隣で見て学ぶ場面がこれにあたります。
第二に「表出化」で、そのコツを言葉や図にして説明できるようにします。
第三に「連結化」で、他の情報や知識と組み合わせて体系化します。
最後に「内面化」で、整理された知識をまた自分の経験として体得していきます。この循環(サイクル)が回ることで、組織の知識は積み重なり、
進化していきます。
さてここで注目いただきたいのは
「顧客価値駆動型開発(CVDD(Customer Value Driven Development))」と
という考え方です。
これは文字通り、顧客が感じる価値を出発点にして開発を進める手法です。
従来のように技術や仕様を先に固めてから市場に出すのではなく、
「顧客はどこで困っているのか」「どんな利得を望んでいるのか」を明確にし、
それに基づいて設計や改善を進めていきます。
この二つの考え方を結びつけると、
ビジネスにおいて大きな力が生まれることを期待できます。
SECIモデルは知識をどう生み出し、共有し、活用していくかを説明します。
CVDDはその知識を「顧客価値につなげるための軸」を与えます。
つまり、知識がただ溜まるだけでなく、
実際にお客様が価値を感じる形で活かされるようになるのです。
たとえば製造業の現場を考えてみましょう。
熟練者が「この工程では手触りが重要だ」と気づいていたとします。
その感覚を若手と共有するのが共同化です。
その後「手触りの良さは部品の表面仕上げに関係している」
と言葉で表せれば表出化になります。
さらに「どの加工方法なら顧客が求める品質を安定して出せるか」を
他の知識と組み合わせれば連結化です。
そして、こうした知識を全員が自分の仕事として習得すれば内面化となります。
ここにCVDDに基づく発想を加えれば、
「お客様は実際には長時間使っても疲れない手触りを望んでいる」
という新たな価値を積み重なった組織の知識から拾い上げることができ、
新製品設計の段階や製品改良の段階においても、
その方向性がぐっと明確にすることが可能になるのです。
SECIモデルとCVDDを統合的に考えると、
知識創造の流れと顧客価値の発見・実現が一本の線でつながります。
これは単なる改善活動にとどまらず、
新しい製品やサービスを生み出すイノベーションの源泉にもなります。
知識を「価値」というフィルタを通して再編成できるからです。
今後の企業経営においては、
暗黙知を形式知に変えるだけでは不十分であり、
顧客価値につなげる視点が欠かせません。
知識をどう共有し、どう価値に変えるか。
そのサイクルをうまく回せる組織が、
これからの市場で持続的に競争力を発揮できると考えます。
ミームテック技術士事務所では、
SECIモデルとCVDDの統合的理解をもとに、
現場に根ざした価値創造の仕組みづくりを支援しています。
自社の知識を顧客価値へと変換するプロセスを整えたいとお考えの方は、
ぜひお気軽にミームテック技術士事務所にお問い合せください。
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