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もったいない!その『属人化』実は宝の山かも?

更新日:9月20日

〜新人もベテランも輝く秘策とは〜


​​中小企業経営者様の共通するお悩みとして、

人手不足の中で、新人・若手の即戦力化が難しいこと、

そしてベテラン従業員の高齢化への対応があると感じております。


御社ではいかがでしょうか。


現場を支えてきたベテランの技術や経験は極めて貴重でありながら、

属人化した業務として埋もれてしまうことも少なくありません。


一方で、新人や若手に対しては

即戦力を期待せざるを得ない状況が続いてのではないでしょうか。


この両者を対象とした課題は別々に語られがちですが、

これが、実は一つのソリューションで同時に解決することが

可能だとしたらいかがでしょうか。


従来、多くの企業ではメンター制度が導入されてきました。

新人に対して入社3、4年目の先輩社員を教育係として配置する仕組みです。

確かに近い世代であるため相談しやすいという利点はありますが、

現実には教育を担う側の中間層が疲弊してしまう構図が見られます。

教育係となった社員自身もまだ仕事を覚える途上であり、

過度な負担を背負うことでモチベーションを失うリスクがあります。

人材不足に悩む中小企業にとって、これは避けたい悪循環です。


では、どうすれば新人教育とベテランの知見活用を両立できるのでしょうか。


鍵となるのは、敢えて年齢差のある従業員同士を組み合わせる仕組みづくりです。


ベテランは自らの経験を言語化することで氣づきを得られ、

若手は知識と現場感覚の両面を吸収できます。


この相互作用は単なる知識伝達にとどまらず、

企業内に新しい創発をもたらす可能性を秘めています。

ナレッジの継承と革新を同時に進める「共創の場」として機能させるのです。


ここで有効なのが、知識創造のフレームワークであるSECIモデルの視点です。


SECIモデルは、暗黙知と形式知が循環的に相互に変換され、

新しい知識が生まれるプロセスを示しています。


ベテランの経験や直感は「暗黙知」として存在しています。

それを新人や若手と共に行動しながら共有することで

「社会化(Socialization)」が進みます。

さらに、経験を言語化・図式化して伝える過程で

「表出化(Externalization)」が起こります。

表出化された知識は他の情報や資料と結びつけられ、

「連結化(Combination)」により組織的な知識体系へと整理されます。

そして新人がその知識を実際の業務の中で使い、

自らのものとして身につけていく段階が「内面化(Internalization)」です。


この循環を意識的にデザインすることで、

単なるOJTを超えた知識継承と革新が可能になります。


例えば、新人研修にベテラン社員を関与させる場面を考えてみましょう。


新人はベテランと共に現場を体験することで、

マニュアルに載っていない判断基準や勘所を感じ取ります(社会化)。

その後、ベテランが経験を言葉に置き換え、

背景や理由を説明することで知識が形式知となります(表出化)。

研修内容や事例として整理されることで、

組織全体が共有できる資産となり(連結化)、

新人が日常業務で活用していくことで

次第に自分の技能として定着します(内面化)。


このプロセスが回り続けることで、

組織は常に学習し成長する「知識創造企業」へと近づいていきます。


こうした仕組みを整えることで、

ベテランの知見は単に「失われる前に残す」ものではなく、

「次の成長を生み出す源泉」となります。


そして新人の新鮮な視点は、

既存のやり方に風穴を開けるきっかけとなり得ます。


多様な世代や価値観を混ぜ合わせることで、ナレッジ継承と革新が同時に進み、

結果として組織全体の競争力向上につながります。


一方で、共創連携に目を向けると

外部とのオープンイノベーションやコラボレーションに挑戦しても

うまくいかないケースも少なくありません。


その背景には、

社内における知識の整理不足や共有の仕組みの欠如があることが

一因となっていることが多いのではないでしょうか。


まずは社内においてSECIモデルの循環を意識しながら共創の文化を育み、

ナレッジを活かす土台を整えることが第一歩になるのではないでしょうか。


その上で外部との協力に踏み出すことで、実りある連携が可能になります。


この取り組みを体系的に進める際に有効なのが、

顧客価値駆動型開発(CVDD)の考え方です。


顧客にとっての価値を中心に据えたプロセスを設計し、

その価値を生み出すために必要な知識や経験をどう結集するかを検討します。


ベテランの経験は顧客にとっての「暗黙の価値」を抽出する手がかりになり、

若手の発想は新しい価値提案につながります。


SECIモデルによって知識を活性化しつつ、

CVDDによってそれを顧客価値に結びつける。

この両輪が組み合わさることで、

ナレッジの継承と革新は、単なる人材育成の枠を超え、

顧客価値を高める戦略的な活動へと昇華します。


新人教育とベテラン活用という二つの課題は、

本来別々に考えるべきものではなく、

むしろ統合的に捉えることで相乗効果を生み出すことができます。


そのプロセスの設計こそが、今後の中小企業の競争力強化に不可欠です。


属人化を防ぎながら、ベテランの知見を資産として蓄積し、

若手の成長を加速する。

この一石二鳥のアプローチをどのように実現するかが、

経営者に求められる意思決定と実行力の核心となります。


ミームテック技術士事務所では、

顧客価値駆動型開発やシステム思考、

そしてSECIモデルの考え方を組み合わせながら、

ナレッジ継承と人材育成を統合的に支援しています。


御社の現場の実情に合わせた仕組みづくりを共に考え、

未来につながる人材戦略を形にしていくお手伝いをいたします。

ぜひお氣軽にお問い合わせください。


エージェントAI・Masaもご質問をお待ちしております

 
 
 

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