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レンガの先に広がる風景

〜日々の作業を未来につなぐ視点〜


作業や業務、そして仕事という言葉を改めて分けて考えたことがあるでしょうか。


日々の企業活動において、

従業員一人ひとりが何を行っているのか、

経営者自身が部下に何を依頼しているのかを

じっくり見つめ直す機会は意外と少ないものです。


表面的には同じ動作を繰り返しているように見えても、

その裏にある意識の違いが企業の未来を大きく左右するからです。


よく知られている寓話に「三人のレンガ職人」の話があります。

旅人が三人の職人に「何をしているのか」と尋ねると、

一人目は「レンガを積んでいる」と答え、

二人目は「生計を立てるために働いている」と答え、

三人目は「大聖堂を建てている」と答えます。


話の内容は非常にシンプルですが、

同じ行為に対してどのような意識を持つかによって、

その人の働き方も人生も変わっていく、という示唆を与えるお話です。


使命感を持って働くことの大切さを強調する寓話として、

多くの場面で引用されてきました。


しかし、この寓話を経営の視点で見つめ直すと、

また別の示唆が浮かび上がってきます。


経営者にとっては、

三人目の職人のように「大聖堂を建てている」と語る従業員ばかりであれば

理想的に思えるかもしれません。

使命感を持ち、未来を見据えて働く人材が揃っていれば、

会社は大きな成長を遂げるだろうと考えるでしょう。


けれども現実には、

すべての従業員が同じような使命感を抱いているわけではありません。

ある人は与えられた労務をこなすことを仕事と考え、

ある人は給与を得るために働くと考えます。


多様な価値観を持つ人々が集まって企業が成り立っている以上、

「使命感を持て」と一律に押し付けることは逆に違和感を生じさせます。


経営者としては、「三人目の職人こそ理想だ」と考える一方で、

「一人目や二人目の職人も確かに存在する」ことをどう受け止め、

どう企業の力に変えていくかが大切になるのです。


ここで考えたいのは、誰かに使命感を押し付けることではありません。


本当に重要なのは、

「自社が果たすべき使命とは何か」を経営者自身が明確にし、

それを従業員と共有し続けることです。


使命を掲げるのはトップの責任であり、

従業員に求められるのはその使命に基づいて「今できること」を考え、

実行することです。


三人目の職人が「大聖堂を建てている」と答えられたのは、

彼の個人的な意識の高さだけではなく、

大聖堂を建てるという目的がはっきりと存在していたからです。


目的がなければ、いくら使命感を持とうとしても空回りしてしまいます。


では、現代の企業における「大聖堂」とは何でしょうか。


それは単なる売上や利益の追求ではなく、

社会にどんな価値を提供するのか、

顧客にとってどんな意味を持つ存在になりたいのか、

という問いに対する答えです。


顧客価値を軸に企業の方向性を定め、

それを全員で共有していくことが、組織全体の意識をつなぎ直します。


このとき、三人の職人の答えを階層的に見ると、

実はすべてが必要であることに気づきます。


レンガを積むという日々の作業は欠かせません。

生活の糧を得るという現実的な動機もまた大切です。

そのうえで、大聖堂を建てるという大きなビジョンが加わることで、

個人と組織の働き方に一貫性と持続性が生まれるのです。


つまり、三人の職人の意識の差は優劣ではなく、

むしろ互いに補い合う階層のようなものです。


経営の役割は、それぞれの従業員が自分の立ち位置を理解しながら、

一段上の視点へと自然に導かれる環境をつくることだと思いませんか。


このプロセスを考えると、

経営者自身もまた「自分は大聖堂を建てているのか」を問われています。


日々の業務に追われる中で、

経営者自身が「レンガを積んでいる」としか思えなくなっていることもあります。

あるいは「資金繰りのために仕事をしている」という視点に

囚われることもあります。

そんなときこそ、自社の使命を言語化し、それを社員と共有する対話が必要です。


使命を果たすために今できることを考えるという姿勢が

経営者自身に備わっていなければ、

従業員が三人目の職人になることはありません。


ミームテック技術士事務所が大切にしているのは、

この「使命を果たすために今できること」を見つけるお手伝いをすることです。


企業における作業・業務・仕事を整理し、

それらを顧客価値や社会的使命にどう結びつけていくのかを一緒に考えます。


経営者にとって当たり前に見えていることも、

従業員からは見えない場合があります。


逆に、現場で積み重ねられている作業の中に、

経営者が見落としている大聖堂への道筋が潜んでいることもあります。

ご支援の中で、

経営者と従業員、作業と使命、現場と未来をつなぐ視点を提供します。


三人のレンガ職人の話は、

使命感を持つことの大切さを教える寓話であると同時に、

経営において「多様な価値観をどう束ねるか」を問いかける物語でもあります。


使命感は押し付けられるものではなく、共有されるものと考えましょう。


企業が掲げる大聖堂の姿を共に描き、

そのために今できる一つひとつのレンガを積み重ねていく営みを通じて、

企業は持続的に成長していきます。


ミームテック技術士事務所は、

経営者が自社の「大聖堂」を描き、

従業員と共に実現していくための伴走をいたします。

顧客価値を軸にした経営と開発の進め方に関心をお持ちの方は、

ぜひお氣軽にお問い合せください。


エージェントAI・Masaもご質問をお待ちしております

 
 
 

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