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開発とは何か?

〜顧客価値の再定義から始めるイノベーション〜

塩野崎亘(しおのざきわたる):小布施マテリアル株式会社 専務

久西薫(くにしかおる):久西精密加工株式会社 代表取締役


久西薫 「塩野崎、事業拡大のために新製品開発を進めたいんだが、どうにもアイデアが出ない。技術部は頑張ってくれているんだが、出てくるのは従来の延長線上にあるものばかりでね。顧客価値を本当に変えるような革新的なアイデアが見当たらないんだ」

塩野崎亘 「ああ、それは予定調和の罠に嵌まっているのかもしれないね。常識や思い込みに基づいた企画は、メンバーには理解しやすく、求められていたものだと感じられやすいが、結果としてどこにでもある製品サービスになりがちだ」

久西薫 「まさにその通りだ。なんとかこの状況を打破したいんだが、何から手をつけていいか」

塩野崎亘 「まずは、君が言う「開発」という言葉自体を、問い直してみたらどうだろうか。顧客価値駆動型開発(CVDD)の考え方を借りるなら、開発とは「顧客価値の観点で、自社の製品やサービスを作り上げること」なんだそうだ。ゼロから新しいモノを生み出すことだけが開発ではないんだ」

久西薫 「なるほど、価値を創造することが本質だと。我々は、ついつい製品の機能や仕様といった構造に目が行きがちだが、そうではないと」

塩野崎亘 「その通りだよ。新しい製品を作るのではなく、今ある資産で新しい価値を生み出す道筋が見えてくるはずだ」


事業拡大の道を探る中で、

「新製品開発」という言葉が重くのしかかっているのではないでしょうか。

お二人の会話を自分ごととして感じられた方も少なくないのではないでしょうか。


常識や思い込みに基づいた企画は、

社内では「求められていたものだ」と理解されやすい反面、

結果としてどこにでもある製品サービスを生み出し、競争優位性を見失います。


この状況を打破するために、

まず「開発」という言葉の定義そのものを問い直す必要があると考えています。

開発とは、

必ずしもゼロから新しいモノを生み出すことだけを指すわけではありません。


顧客価値駆動型開発(CVDD)の視点から見ると、

開発とは「顧客価値の観点で、自社の製品やサービスを作り上げること」です。

顧客が真に評価するのは、技術の高さそのものではなく、

その技術が生活や仕事にもたらす意味だからです。


「開発」での重要な概念=イノベーションは、

シュンペーターが定義した「新結合」であり、「新しい意味の創出」、

すなわち「再定義の営み」に他なりません。


既存の製品であっても、それを新しい市場に持っていく、

あるいはリネームするだけで、顧客にとっての意味が変わるならば、

それは立派な「開発」となるのです。


単なる機能の優劣ではなく、

文脈や関係性、背景にまで目を向けながら価値を再定義していくことこそが、

今求められています。


モノからコトへ、という言葉は広く語られていますが、

その実現には、顧客価値をより深く多層的に捉える必要があります。


従来の価値設計は、顧客のPain(課題・苦痛)を解消し、

Gain(成果・恩恵)をもたらすという、構造的な最適化が中心でした。


もちろんこれは重要ですが、

これだけでは顧客の価値全体を捉えるには不十分です。


ミームテック技術士事務所では、

これに、「Blues(癒し)」と「Soul(励まし)」という視点を加えています。

  • Blues(癒し): 顧客の感情的な痛み、不安、疲労に寄り添い、心を和らげる価値。

  • Soul(励まし): 顧客の志や挑戦を後押しし、意欲や誇りを喚起する価値。


これは、顧客の「痛みを解消し、利得を生む」だけでなく、

「心に寄り添い、志をともにする」ことを意味します。


たとえば、製造装置の保守点検サービスが、単なる故障対応を超えて、

現場オペレーターのストレスに配慮したサポートを提供すれば、

それは「Blues」の要素を含んでいます。


BluesやSoulといった価値設計を実現するためには、

製品やサービスがどのように顧客と関わり、

感情的・関係的な価値を生むかという「ふるまい(Behavior)」の設計が

より重要になります。


この潜在的な顧客価値、新しい「意味」をどう見つけ出せばいいのでしょうか。

鍵となるのは、「意味ある問いを立てる力」です。

多くの企業が「AIを導入すれば何かが良くなるだろう」

という漠然とした期待感で動きますが、

AIは「何を問われているのか」が分からなければ、的確な出力を返せません。


ここで求められるのが、「問いのデザイン」という考え方です。

真の目的に沿った問いを立てることで、

AIはより有効な選択肢や視点を提示できます。

そして、この問いの質を決定づけるのが「AIセンス」です。


AIセンスとは、単なる操作方法(AIリテラシー)を超えて、

AIを「活かしどころを見極め、文脈に合わせて使い分ける力」、

AIで価値を創造すること」を見極める力です。


AIは、イノベーションのための「思考の触媒」として機能し、

人間が漠然と感じているアイデアをプロトタイピングしたり、

思考の射程を拡張したりすることを支援してくれます。

AIセンスとは、このAIを「使い手の想像力を広げる装置」として、

いかに適切に配置するかのセンスでもあるのです。


開発とは、目の前の「問題」に対応することではなく、

未来の「ありたい姿」から逆算して「課題」を解決する活動です。


ミームテック技術士事務所では、

この顧客価値の再定義を軸に、貴社の開発と事業変革を支援いたします。

顧客価値駆動型開発(CVDD)という枠組みを用い、

顧客価値センスと論理的なシステムズエンジニアリングの視点を統合しながら、

貴社の「ありたい姿」の実現をサポートします。


特に、AIセンスの育成と「問いのデザイン」を通じて、

組織全体が「新しい意味」を創出できる文化を醸成していきます。

まずは、「自社の顧客価値って、Pain/Gainの先にあるBlues/Soulまで捉えられているだろうか?」という問いを自らに投げかけてみませんか。


ミームテック技術士事務所は、技術と社会の架け橋となり、貴社の価値創造活動に寄り添うパートナーでありたいと考えています。


ご興味をお持ちいただけたのであれば、

お氣軽にお問い合わせください。


エージェントAI・Masaも、皆様からのご質問をお待ちしております。

 
 
 

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