AIセンスを育てる現場思考
- 価値創造_室橋雅彦
- 8月3日
- 読了時間: 3分
〜問いのデザインと対話の力〜
ChatGPTをはじめとする生成AIの技術が急速に進化する中で、
私たちは「正しく答える力」ではなく、
「意味ある問いを立てる力」が問われる時代に入っています。
現場でAIを活かすには、AI技術の理解以上に、
「問いの立て方」そのものが鍵を握っていると考えます。
そしてこの問いは、個人の頭の中だけで完結するものではありません。
対話を通じて現場や組織の知を編み直し、
文脈を再構成していくプロセス全体が、まさにAIセンスの核心です。
多くの現場では、
「AIを導入すれば何かが良くなるだろう」という漠然とした期待感があります。
しかし、このような動機からの導入では
意味ある成果を得られることは非常に稀なのではないでしょうか。
なぜなら、AIは「何を問われているのか」が分からなければ、
的確な出力を返せないからです。
そこで必要になるのが、問いをデザインする力です。
単に「これを調べて」と依頼するのではなく、
「なぜそれを知りたいのか」「それが分かれば何が判断できるのか」といった、
目的との接続を意識した問いこそが、
AIのポテンシャルを引き出すカギとなります。
たとえば、製造業の設計現場で
「この構造は最適か?」とAIに尋ねるより、
「この構造が想定する使用環境や制約条件を満たす設計案は他にあるか?」
という問いを立てれば、AIはより有効な選択肢や視点を提示できます。
これこそが、
「この構造は最適か?」ということを尋ねることの真の目的ではないでしょうか。
真の目的に沿った回答を得る問いの質は、使い手のセンスに大きく依存し、
そのセンスは、実務を通じた経験と、他者との対話の中で鍛えられるのです。
このセンスを鍛えるために重要になるのが、
チームや部門を超えた「意味ある対話」です。
AIセンスとは、問いを立てる力と同時に、
「異なる立場の視点を引き出し、組み合わせて構造化する力」でもあります。
営業、開発、品質、生産、そして経営層が抱える文脈や価値観を
対話によって顕在化させ、AIに委ねる部分と人間が判断すべき部分を
共に見極めていくプロセスは、まさに共創そのものであり、
問いを通じた組織学習の場でもあります。
このような問いのデザインと対話を促すには、「試す文化」が必要です。
最初から完璧な問いを目指すのではなく、小さく試し、対話を通じて問いを磨き、AIの出力を現場に照らし合わせて評価する実験と対話のサイクルが、
AIセンスを組織に定着させる基盤となります。
中小企業のように、部門横断のコミュニケーションがしやすい環境では、
この文化の醸成が大きなアドバンテージになります。
さらにもうひとつ重要なことは、
「問いはつくるものだ」という意識の転換にあります。
学校教育や従来の業務フローの中では、
「正解のある問いに答える」ことが重視されてきました。
しかし、AI時代の知的価値創造とは、
「まだ答えのない問いを立て、意味を共につくる」プロセスなのです。
このパラダイムの変化を現場の思考に根付かせることができれば、
AIは単なるツールではなく、学びと創造のパートナーになります。
次回は、こうしたAIセンスと現場の対話によって実現される
「共創による価値創造」の未来を、
中小企業の事例とともに展望していきます。
ミームテック技術士事務所は、
生成AIによる新たな企業のありたい姿のための
現場思考の変革をご支援いたします。
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お氣軽にお問合せいただけますと幸いです
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