M&A前夜_その2
- 価値創造_室橋雅彦
- 4 日前
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M&Aの通常の進め方において、最初に行われるのは
「財務的な精査(財務DD)」や「法的なリスク抽出(法務DD)」になります。
しかし、M&A後の企業の持続可能性という観点に立ったとき、
それ以上に重要な「DD」が存在すると考えております。
CVDD(Customer Value Driven Development:顧客価値駆動型開発)が、
その重要な「DD」であると考えます。
なぜ、CVDDがM&Aの成否を分けるのでしょうか。
それは、多くの経営者が「自社の本当の強み」を、
実は正確に把握できていないことが多いからです。
長年経営を続けていると、
自社の強みを「社歴」や「特定の設備」「特殊な技術」だと
思い込んでしまいがちです。しかし、これらはあくまで「資産」に過ぎません。
真の価値とは、その資産を使って「顧客が抱えるどのような課題を解決し、
どのような幸福をもたらしているか」という一点に集約されます。
顧客が対価を支払っているのは、あなたの会社の「設備」に対してではなく、
その設備が生み出す「価値」に対してなのです。
M&Aというブレーキの効かない「加速」のプロセスに入る前に、
この顧客価値を再定義(Redefine)し、磨き上げる(Development)プロセスを
挟むことには、二つの大きな意味があります。
一つ目は、
「自社の適正な価値(バリュエーション)」を
自ら定義できるようになることです。財務諸表の数字だけを見れば、
あなたの会社は数多ある「中小企業の一つ」として買い叩かれるかもしれません。
しかし、「この特定の顧客群に対して、他社では代替不可能なこの価値を提供している」
という事実を、顧客の声を起点に言語化できていれば、
交渉のテーブルでの立ち位置は劇的に変わります。
それは「価格」ではなく「価値」の交渉になるからです。
二つ目は、
「どのようなパートナー(買い手・提携先)が必要か」が明確になることです。
自社が提供している価値の「種」が分かれば、
それをさらに大きく育てるために必要なリソースが、
資金なのか、販売網なのか、あるいはデジタル技術なのかが見えてきます。
この視点がないままM&Aを進めると、
資本力はあるが自社の価値を毀損させるような相手と組んでしまうという、
取り返しのつかない悲劇を招きかねません。
CVDDの第一歩は、既存の顧客に徹底的に向き合うことです。
それも、アンケートのような形式的なものではなく、
顧客のビジネスや生活の現場に深く入り込み、
「もし自社が明日なくなったら、顧客は何に一番困るのか」を問い直す作業です。
この問いの答えこそが、貴社が次世代へ引き継ぐべき「ミーム(文化的遺伝子)」の核となります。
持続可能な企業とは、
時代に合わせて形を変えながらも、
その「核心的な価値」を提供し続ける組織のことです。
M&Aを単なる「身売り」で終わらせないために、
あるいは、ただの「規模拡大」という虚像で終わらせないために。
まずは立ち止まり、
顧客の瞳の中に映る自社の姿を再発見することから始めてください。
その「顧客価値」という名の設計図が描き上がったとき、
M&Aという手段は、貴社の価値を世界に解き放つための、
強力なエンジンへと姿を変えるはずです。
次の一歩として、
貴社の主要な顧客3社を思い浮かべてみてください。
彼らが貴社を「使い続けている本当の理由」を、
忖度なしに言語化するお手伝いをさせていただけませんか?
ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合せください。




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