壁打ち・対話・コーチングの不等式(その1)
- 価値創造_室橋雅彦
- 9月8日
- 読了時間: 3分
〜不等式が示す、人とAIの違い〜
よく耳にする言葉「壁打ち」、「対話」と「コーチング」を
数学の不等号で並べてみました。
“壁打ち < 対話 < コーチング”
さて、この不等式の意味するところはなんだと思われますか?
壁打ちとは、自分の考えを相手にぶつける行為です。
返ってくるのは壁の反射音のようなもので、
考えを整理するための道具に過ぎません。
最近では生成AIを相手に壁打ちする人も増えています。
生成AIは大量の情報を整理して返してくれるため、
まさに「便利な壁」として機能します。
しかし、壁打ちには限界があります。
なぜなら、そこには自分をズラしてくれる他者の意図や
感情の揺らぎが含まれないからです。
一方で対話は、相手がいて初めて成立します。
自分が言葉を投げ、相手が受け取り、時にずらしながら返してくれる。
自分の前提を揺さぶられる瞬間に、新しい思考の糸口が生まれます。
ここには生成AIとの大きな違いがあります。
生成AIも対話風に応答しますが、
生成AIは、人間のようには「場の空気」や「間」を感じ取って問いを変えることはありません。
人との対話は、言葉に出ていないニュアンスや沈黙までも含んだ相互作用の中で展開されます。
そしてコーチングは、その対話をさらに一段階進めたものです。
コーチはクライアントの目標や価値観を中心に置きます。
同じベンチに座り、同じ景色を眺めながらも、感じ方や考え方は違います。
その違いを尊重しつつ、クライアントが自分の答えに辿り着けるよう伴走します。質問を敢えてずらすことも、相手の思考を引き出すための技術です。
信頼の関係が前提にあり、
クライアントの中に必ず答えがあると信じる姿勢が根底にあります。
壁打ちは自分の考えを整理するには、役立ちます。
対話は新しい視点を与えてくれます。
そしてコーチングは、その人自身の中から未来を紡ぎ出す行為です。
先に示した不等記号で表した式は、
何かの大きさの比較を示した式ではなく
相互理解から生まれるコミットメントと信頼の「深まりの階段」を
意味しているのです。
生成AIの登場によって「壁打ち」は手軽になりました。
しかし、人の感情や表情、沈黙から生まれる気づきはAIには担えません。
生成AIにできることと、人間同士だからこそできること。
その違いを見極める時代に、
壁打ち < 対話 < コーチング の不等式が改めて意味を持ってきています。
壁打ち、対話、コーチングは、
経営課題の整理や意思決定の精度向上に直結するアプローチです。
本記事は、シリーズ『壁打ち < 対話 < コーチング』の一部です。
経営者の意思決定から組織づくり、
未来のマネジメントに至るまで、さまざまな角度からこの不等式を
紐解いていきます。
次回は『間とずらしが生む深まり』をテーマに、
人間同士の対話にしかない価値を考えていきます。
ぜひあわせてご覧ください。
ミームテック技術士事務所では、経営課題や技術課題を整理する際に、
「壁打ち・対話・コーチング」の
それぞれが持つコミットメントと信頼の深まりの段階を踏まえて
それぞれの特長を活かした支援を行っています。
単なる壁打ちにとどまらず、
経営者や現場の方々が自ら答えにたどり着くプロセスを大切にしています。
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