事業承継をめぐる「支援を受けるか否か」
- 価値創造_室橋雅彦
- 10月13日
- 読了時間: 4分
過日、私(オブセ信金の新沼営業課長)が
ご挨拶に、小布施マテリアル株式会社 塩野崎康助社長を訪問した際に、
先日のこととして、会社を経営している友人と食事されたときのことを
お話いただきました。
『彼との会食は色々な話題で盛り上がっていたんだけど、食事を終えようとするころに、「うちはまだ後継者が決まっていなくてさ。社員にも言えないけど、本当はすごく不安なんだ」と
経営者の顔になった友人がぽつりと口にしたんだ。
その言葉には、私自身も胸を突かれる思いがあってね。
事業承継は避けられないテーマであることは理解していても、
いざ自分の会社のこととなると簡単には口に出せないものなのです。
ましてや「支援を受けようか」と考えることは、
経営者としての誇りや責任感と正面からぶつかるため、
なおさら難しく感じられたんだ』
そのお話を伺い、塩野崎様と別れた後に、
今まで見聞きした事業承継を思い返しながら、つらつらと考えてみました。
確かに、多くの中小企業経営者にとって、
事業承継は単なる経営課題ではなく、人生そのものの選択と言えます。
経営者ご自身が築いてきた会社を他者に託すということは、
自分の分身を手放すような感覚さえ伴うと言われてます。
外部の支援を受けることにためらいを感じるのも自然な心理だと思います。
さらには、「自分で決めるべきことを他人に委ねるなんて」と、
誇りと迷いが交錯したりもします。
実際、地元の老舗建設会社の社長は、
後継者がいないことに長年悩みつつも、
外部の専門家に相談することを避けていました。
社員や取引先に「準備ができていない」と知られることを恐れ、
自分ひとりで抱え込んでしまったのです。
結果として事業承継の準備は遅れ、
社長自身が体調を崩したこともあり、社員や取引先に不安を与えてしまいました。
「もっと早く支援を受けるべきだった」と後悔する日々が続いたといいます。
一方で、支援を活用して未来を切り開いた企業もあります。
ある食品加工業の経営者は、
長男に会社を継いでほしい気持ちはありましたが、
経験不足に不安を抱いていました。
そこで外部の支援者と共に後継者育成プランを策定し、
経営会議への同席や業務体験を段階的に増やす仕組みを導入しました。
さらに親族以外の幹部社員にも将来の役割を明確に示すことで、
チーム全体で会社を支える体制を整えました。
結果として後継者の成長スピードは上がり、
社員の間にも「自分たちが未来を担っている」という意識が芽生えました。
経営者は「支援を受けたことで会社の未来を共に描けた」と振り返ります。
事業承継は、経営者の誇りと責任が交錯する難題なのです。
「自分の代で終わらせたくない」という思いと、
「果たして後継者に任せてよいのか」という迷いの狭間で
多くの経営者が孤独を感じているのでしょう。
支援を受けることは決して誇りを手放すことではないと思っています。
むしろ、自分が築いてきたものを未来につなげるための責任ある選択のはずです。
外部の支援者は、会社の舵を奪う存在ではないとも思っています。
支援者が経営者と共に未来を見据え、
後継者や社員とつなぐ橋渡し役として伴走してくれるのを目にしています。
外部からの支援を受けることで、漠然とした不安を言語化でき、
整理し、具体的な行動へと変えることが可能になるとのお話も聞きます。
そして、そのことは、経営者自身が「この会社を託せる」と
心から思える瞬間につながるのではないでしょうか。
もちろん、すべての不安が消えるわけではないことも確かです。
「後継者は本当にやっていけるだろうか」
「社員はついてきてくれるだろうか」と心配は尽きないのでしょう。
それでも、その迷いの先に選択をすることで、
未来への希望は開かれると思います。
支援を受けるか否かの判断は、
経営者の孤独を希望に変える小さな一歩でしょう。
中小企業の事業承継は、決して大企業の模倣ではなく、
自社の強みと誇りを守りながら進めるべきものでしょう。
迷いながらでも外部支援をうまく活用することで、
準備を早く、着実に進めることができます。
今、迷っている経営者こそ、
その迷いを希望に変えるチャンスがあるのだとの考えに至りました。
ミームテック技術士事務所では、
経営者の誇りや葛藤に寄り添いながら、
事業承継・後継者育成に関する具体的な支援を行っています。
孤独な経営者の不安を希望に変え、
未来につながる伴走者として共に歩むことができます。
「支援を受けるか否か」で迷っている経営者の方がいらっしゃいましたら、
どうぞお氣軽にお問い合せください。
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