DXとは変革に向けた人の活かし方なのです
- 価値創造_室橋雅彦
- 8月3日
- 読了時間: 4分
久西精密工業の久西社長は
社長就任前から永く付き合いのあるゴリン商事の秋山部長との
本題の打合せを終えて、日頃からの思いを話し始めた。
久西薫「ペーパーレス化の取り組みを始めたとき、予想以上に若手が主導してくれて驚きました。」
秋山久美子「そういうときって、“変化に強い人材”が自然と浮かび上がってきますよね。」
久西薫「普段はあまり目立たない子が、今回のプロジェクトでは中心になって動いていて…見方が変わりました。」
秋山久美子「それって、人材育成って“与える”だけじゃなくて、場を作ることでもできるってことかもしれませんね。」
久西薫「そうですね…。ただ、こういう機会がなかったら、そういう力に気づけなかったと思います。」
秋山久美子「DXって、育成の“きっかけ”でもあるのかもしれませんね。」
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皆様にとって耳の痛いお話にならないと良いのですが.....。
中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の現場を
回っていると、最終的には必ず「人」の話に行き着きます。
ご支援する中小企業の経営者や幹部の方々とお話しする際、
DXというテーマで話を始めても、
話すうちに決まってこういった言葉が出てきます。
「うちは人が足りないんですよ。DXを進めるためだけに人を割く余裕はないんです」「みんな日々の業務で手一杯です。誰かに任せようにも、そもそも任せられるスキルのある人がいないんです」「いや、そもそもうちにはDXなんて必要ないと思っています」「うちみたいな規模でDXは無理ですよ。まだ早いです」
こうした言葉は、もはやテンプレートのようにどこの企業でも出てきます。そして、こうしたやりとりの末に、
少し照れくさそうに、あるいは自虐的に、
「結局は”経営者の覚悟”ですかね」と言って締めくくられることが
非常に多いのです。
このような繰り返しの中で考えることがあります。
この「覚悟」とは何でしょうか?
DXは、確かに技術や仕組みの導入を伴う取り組みですが、
本質はそこにはありません。
むしろ、「自社の未来をどう描くか」
「今いる人材をどう活かすか」という、
きわめて人間的な問いに向き合うことから始まります。
そしてそこに求められるのが、経営者自身の「覚悟」なのです。
たとえば——・従業員を信じる覚悟・やり切る覚悟・任せる覚悟・頼る覚悟・取り組み続ける覚悟・見極める覚悟・見定める覚悟
これらは、経営資源を割くとか、プロジェクトチームを作るとか、
そういう話以前の“マインド”の問題なのです。
人に任せきれない、信じきれない、やり切る前に諦めてしまう
——そうした無意識の姿勢が、
DX導入の最大の障壁となってしまっているのではないでしょうか。
誤解のないように申し添えれば、
「経営者の努力が足りない」と責めるつもりはまったくありません。
日々の現場で奮闘されている皆様が、
どれほどの制約の中で意思決定されているかはよく理解しています。
だからこそ、今一度ご自身に問うていただきたいのです。「自社にはDXが“必要ない”のか、それとも“まだやりきる覚悟ができていない”のか?」
従業員に任せることで、彼らが変わる可能性を見過ごしていないか。やり方が分からないなら、どこまでなら自分たちでやれそうか。一人では難しいなら、外部と組んででも進めることはできないか。
DXは一足飛びに完成するものではありません。
むしろ、試行錯誤と小さな成功・失敗の積み重ねです。
成功するかどうかよりも、「変えようとしたかどうか」が問われるのです。
そして何より重要なのは、
従業員を「変えようとする」のではなく、
「信じて任せる」ことです。
信じられた人は、その信頼に応えようとします。
そこから、チームが変わり、職場が変わり、
やがて会社が変わっていくのです。
ミームテック技術士事務所は、
そうした一歩を踏み出す中小企業の皆様とともに、
技術と仕組み、そして育成を支える伴走者として活動しています。
どこから手をつければよいかわからない、
うちの規模で可能なのか不安、
信じて任せたいが仕組みがない——
そんな悩みをお持ちの方、ぜひ一度ご相談ください。
覚悟は、一人で背負う必要はありません。ともに進める「仕組み」や「支援の形」が、きっとあります。
ミームテック技術士事務所へのご相談・お問い合せは
お気軽にどうぞ
久西薫(くにしかおる):久西精密加工株式会社 代表取締役
秋山久美子(あきやまくみこ) ゴリン商事株式会社 本社営業部部長
ここで紹介する人物・会話はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。




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